9. プラスになった怪我


 最近は水が冷たく、天気の悪い日はバリとは思えないほどの寒さ。寒がりの私にとってウェットが手放せない季節となってしまいました。

 今年の彩子大事件トップ3に入るであろう、サーフィン事故を先日ビンギンで起こしてしまいました。
 友達のヒロちゃんと数日間通っていたある日、ずっとサイズのある波が続いていた後、その日はサイズが下がっていたので、恐しく大きいセットに怯えることなくサーフィンの出来るコンディションでした。それはロータイドになってチューブが現れても、私が楽しんでサーフィン出来るコンディション。しかも波回りが良くて沢山乗れるし、クリーンな波でチューブ・インも出来たため、楽しくて楽しくてしかたありませんでした。

 でも、実はビンギンはロータイドになるとクオリティの高いチューブが出現するけれど、インサイドはとても浅く危険なんです。そんなことは分かっていたけれど、あまりにも楽しかった私は、どんどん浅くなってリーフがむき出しになってきても「後一本」と、上がるタイミングをずっと先延ばしにしていました。そのうち、ピークの下には水が無く、リーフしか見えなくなったのを見て、「ヤバイ、テイクオフに失敗したら頭打っちゃう。帰ろう!」と思った時にはローカルの姿はなく、エキスパートの欧米人しかいませんでした。
 慌てて最後の一本を慎重に乗り終え、さぁ帰ろうと歩きだそうとしたその時、後ろから凄いセット! しかもその欧米人はその波にチューブ・インしている! 私がそこに立ったままでは彼の邪魔になるし、ぶつかりかねません。邪魔しちゃ悪いけど、どうやってよけたらいいのか混乱してしまい、とにかくドルフィンだ! と彼の逆方向にドルフィンしたら、ドンッと凄い衝撃におそわれました。その後はわけが分からなくなるほど引きずられてしまいパニックに。引きが弱くなった時に急いで立ち上がり、またくらってしまうのが恐ろしくて、足の裏が切れようが構う事なく、水の無い所まで走りました。ふと自分を見ると足は血だらけ。でも、深い傷も無さそうだし大丈夫、と次に右肩辺りを見ると又血だらけ。何だコリャ!? どこから血が出ているんだ? と、少し傷みのある右頬を触ると手が血で真っ赤でした。

 ビックリした後にすぐ思った事は「恥ずかしい」。自分でもよく分からないけれど、怪我してしまった自分の姿を皆に見せることも、その姿を皆が見て大騒ぎになることも恥ずかしくてたまりませんでした。そうなると怪我したパニックは一気に覚めて、なぜか冷静な私。何も無かったかのようにビーチのワルン(食堂)に帰ったけれど、もちろん皆は大騒ぎ。心配して傷口にレモンやアロエを塗ってくれたけれど血が止まりません。血だらけの私を見てヒロちゃんも少しパニックになり、お互い「ゴメンネ」と、何がゴメンネなのか分からないけれど言い合っていました。かなり変わった光景だったと思います。

 とにかく縫った方がいい、とクタに戻ると、血だらけの私を友達が見て又大騒ぎ。医者を呼んで縫ってもらっている間も皆が入れ代わり立ち代わり様子を見に来て、思ったよりも大騒ぎになってしまい、ずっと恥ずかしいままでした。当分はサーフィンが出来なくなってしまい、それがたまらなくストレス! でも、それよりも次の日の朝、鏡に映った自分の顔にビックリ! どんだけ殴られたんだ! ? と思うくらい顔が腫れ上がって、人様にはお見せ出来ない醜い顔。さすがに自分でもブサイク過ぎて引いてしまいました。

 でもあの時の波は私にとって本当に楽しくて楽しくて、帰らなきゃいけないのを忘れてしまうほどいい波だった。怪我したのはマイナスだけど、楽しかったプラスの方が多くて、プラス、マイナス=プラス。早くサーフィンしたくてたまりません。改めて、「ロータイドのリーフでは調子に乗らないこと!」。いい勉強になりました。

Keep Surfing!!



Photo at Keramas / by Norimaru


*H.I.S.バリフリーク2006年No.8掲載。

タイドチャート(潮見表)はこちら



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