〈15〉榊原 茂美 さん
グリンシンとは、バリ島東部トゥンガナン地区のプグリンシンガン村でのみ作られている草木染めの経緯絣のこと。この布はバリ島の中でも独自の慣習を形成しているバリアガ(バリ先住民族)によって、高度で複雑な技法を駆使して織られています。今から18年前、この固有な社会体制の、閉鎖的な村に飛び込み、村人と生活を共にしながら、グリンシンを学んだ茂美さん。現在も品質保持と伝統的な技法を守ろうと、村人と協力しながら活動を続けています。

■プロフィール
1963年11月14日生まれ。 出身地:兵庫県 姫路市。 好きな食べ物:嫌いな食べ物なし。 趣味:読書、古布収集。
日本の大学で染織を専攻。卒業後、バリ州で行なわれたデザイン専門家セミナーのアシスタント講師を勤めたのをきっかけに、グリンシンの技法を学び始める。帰国後、読売テレビの報道技術局CG室に勤務する傍ら、グリンシンを学ぶ為にバリへ通う。また染織家として、展覧会やワークショップ、インドネシアの染織についての講演など積極的に行なう。'90から2年間、バリにてグリンシンの長期調査。更に'99からはデンパサールの国立芸術大学(ISI)に籍を置き、調査、研究を進めている。現在、バリのデンパサールとトゥンガナン・プグリンシン村に在住。

■問い合わせ/連絡先
ご本人の希望により明記せず

茂美さんが村人達と共同で制作したグリンシンの数々。

木皮で作った紙に草木染めを施したファイバーアート(展覧会出品作)。

グリンシンのモチーフの中でも「ワヤン」と呼ばれる難度の高い柄を織る茂美さん。

グリンシンをまとった、バリアガで織り子のクトゥッさん(左)と茂美さん(右)。

国際芸術交流展インドネシアージャパンの出品作。

クトゥッさんの自宅。グリンシン作りは村の女性達にとって、食事や沐浴をしたりするのと同じように、ごく日常的な営みである。それと共に、作る行為そのものが信仰の一部でもある。

つよし:グリンシンというものは何となくは知ってはいたのですが、その奥深さに驚きました。

みわきち:グリンシンは1枚織り上げるのに一般に5〜10年、或いはそれ以上かかるとも言われています。中途半端な気持ちではこの布を学ぶことはできませんよね。茂美さん自身グリンシンをライフワークとして活動されています。また、グリンシンに携わりながら、コンテンポラリーのファイバーアートも作って、展覧会に出品したりと大忙しです。

つよし:グリンシンの赤、黒、白はヒンドゥーの三神を表す色で、無病息災や魔除けの布として珍重されています。布を超えた不思議な存在感を感じますね。