6. イカット 1

 「イカット」って何でしょう? 「イカット」とは日本でいう「かすり織物」のこと。つまり、ジャワ更紗のように白生地に模様を描いていくのではなく、布の材料となる糸に模様を染めつけ、模様が施された糸を織ることによって柄を作り出すもの。イカットの語源はもともと「くくる」「縛る」などの意味ですが、糸に模様を施す際に糸を縛りつけることから、この布が「イカット」と名付けられたという説もあります。インドネシアはイカットの宝庫でもあり、今や「イカット」は世界の共通語となっています。

 今回は「イカットは知らないけど、こんな布ならどこかで見たことがある」と思うような、インドネシアでもお馴染みのスンバ島のイカットを一部ご紹介しましょう。スンバ島は、バリ島から飛行機で約70分のところにあるヌサ・トゥンガラ諸島にあります。ここで織られている「イカット」は装飾用だけでなく、民族衣装や宗教儀礼には欠かせないものとして、現在も布作りが受継がれています。スンバ島ではマラプと呼ばれる祖霊・精霊信仰のもとに生活が営まれていて、布にもそういった慣習が柄のモチーフとして織り込まれているのが特徴です。

 バリ島ではイカット専門のSHOPなどもあるので、機会があれば是非、長い年月をかけて丹念に織られた手織りのかすり布を手にしてみてください。きっと自然の温もりと懐かしさを感じるでしょう。

インドのかすり織物・パトラ柄を模した柄は、王族・貴族階級にのみ着用が許された禁制柄として伝えられている。

海老文様。脱皮を繰り返し成長する海老は、成功、昇進、長寿などのシンボルとして頻繁に用いられる。

首架文様。一見ユニークには見える文様だが、昔のスンバ人の首狩りの習慣をモチーフにしたもの。勇者の象徴であり、戦場に向かう戦士への勝利や無事を祈ったものとも言われている。

今も昔ながらの腰機を使う手仕事。基本色は茜色、藍色とこれを染め重ねた色、地色の生成り色が主流。

下絵なしで、糸に模様を施している島の女性。




*このページに掲載された記事は「H.I.S.バリフリーク 2008年 No.3」のものです。


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