7. イカット 2

 「イカット」とは日本でいうかすり織物のこと。材料となる糸にあらかじめ模様をつけてから布を織り上げます。インドネシアはこの「イカットの宝庫」であり、特にバリ島東部のトゥンガナン・プグリンシンガン村で織られている「グリンシン」は、この村でのみ作られている希少価値の高い布で、現在も世界中のコレクターを魅了し続けています。

 「グリンシン」は「ダブル・イカット(経緯がすり)」とも呼ばれ、かすり織物の中でも高度な技術と時間を要します。バリ島の中でも「バリ・アガ」といわれる先住民の村でこそ守り続けることのできた伝統の技です。「グリンシン」は“無病息災”を意味し、村人達は宗教儀礼の衣装などのアイテムとして用います。一般のヒンドゥー社会でも魔除けの布として今も大切にされています。本物の「グリンシン」は、今も全工程が手仕事。手で紡いだ糸を草木染だけで、何年もかけて染め上げ、1本1本丹念に柄をあわせながら織っていきます。慣習に基づいた昔ながらの手法で作ったものの中には1枚の布を作り上げるのに十年以上かかるものも。

 トゥンガナン・プグリンシンガン村の近くには、チャンディダサ・ビーチがあり、レストランやホテルが集まっていますが、ビーチでひと息ついた後、村へも立ち寄ってみてはいかがでしょうか? 運がよければ、グリンシンをまとったお祭りの風景やこの村独自の鉄のガムラン音楽なども耳に出来るかもしれません。

基本色の赤・黒(茜色と藍色のを重ねた茶褐色)・白はヒンドゥーの神様の象徴色。

匠の技が光る「ワヤン(影絵)」柄。この村ではこの文様が一番重要とされる。目を細めてみると人型が浮かび上がる。

山間ののどかなトゥンガンナン・プグリンシンガン村の風景。水牛が村をねり歩いている。

新年の風景。トゥンガン・プグリンシン村はバリ暦とも違う独自のカレンダーで生活が営まれている。

一日に数センチしか織ることができないとも言われる織りの作業。

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*このページに掲載された記事は「H.I.S.バリフリーク 2008年 No.4」のものです。


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