20. 涙の効用
この「道端の神々」13回目に「譲らない心願成就」というのを書きましたが、その後日談があります(まだの人はネットで読んでね)。
あのとき凶のおみくじを引いたバリ島のインテリアデザイナーの話です。先日ニタが再来日しました。彼女が突然、
「いづみ、あの凶は当たってたのよ」
と言いました。何故なら帰国後に知ったことですが、あの来日中にインテリアデザイナーのお父様は亡くなり、恋人も荷物まとめて逃げていた、というではないですか。帰国したらまるで変わっていた自分の人生、一体何が起こったの? という状況だったらしいです。それを聞いてニタたちは「そういえば凶だったものね」と思い出したそうです。さすが当たります、浅草寺のおみくじ。

さて話は変わって、みなさん最近涙を流しましたか?
涙っていうのはやはり大きなツールですね。私の友人の仲間と結婚したあの雅楽のプリンスとか言われているT. 秀樹さん、色々と裏話を聞いているので、私はどうも好きになれずにいました。子供たちに雅楽を教えるテレビ番組出演のときも、あの貴公子スマイルで善人そうに振舞っているその姿に「フン、うまい奴」とか毒づいて見ていたのですが、最後に子供たちが一生懸命その曲を演奏している姿を見ながら彼が感動の涙を流しているのを見たそのとき、「この人っていい人なのかも」と、今までと百八十度違った評価が湧いてしまいました。やはり涙の力は大きいです。
先日は、バリ島にも豪邸があるというS. 秀樹が病気から回復したインタビューで、質問が家族のことになった途端、
「家族の支えがあったからこそ…」
と、涙をこらえて言葉につまるその姿を見て、「この人まともな人なんだ」と思ってしまいましたし。そういうことってないですか?(どうしていきなりダブル秀樹かっていうと…、これ東と西にかけてみた例なんですけど解ってもらえました?)
それは私が単純だとかそういうことではなく(それもありますが)、その涙が悲しくて流す涙ではないからです。感動して感極まって流れる涙だからですね。つまり純粋さが垣間見えます。その証拠に感動というのは魂の浄化だといいます。感動したときに体や心をよく感じてみてください。言葉でうまく表現できませんが、胸のあたりがじ〜んとしますよね? ゾゾッとしますよね? それが魂を浄化しているサインだそうです。ですから感動して涙を流している人は、その瞬間本当に綺麗な魂の存在ということです。
ですから感動したときは誰もが、そのときその瞬間は、必ずといっていいほど非常に平和で肯定的な発想が浮かぶようです。正しく生きていこうとか、社会のためになろう、親を大事にしよう、人を助けよう、生きててよかったとか、非常にまともな正しい考えが心を支配することに気づいていましたか? そして感動しながら何故か「ありがとう」と、何へかはわからずも感謝したりします。よい映画を見て感動にむせび泣きながら「よし、騙してやろう」とかは絶対に考えられないものでしょう?
感動という現象は自発的にこのような流れを起こせるすごい作用なんです。よって精神治癒にも使うことが出来ます。実は、精神治療には悲劇ものを見せるのが一番効果的なんです。その主人公の気持ちを味わい、主体的観点で涙を流すことでひとつ扉が開くんです。もっと明るくなればと喜劇もよさそうですが、実は喜劇は逆効果なんです。より具合悪くなります。理由はここでは詳しく述べませんが、最近のお笑いブームも私はちょっと危惧してます。プチ欝病なんてのが流行っている中、テレビであんなにお笑い番組多いし、絶対により悪くなるから気をつけてください。
感動が得られるのは文化芸術からも多いですね。だから文化芸術度が高い地域は、犯罪も少ないといいます。反対にそういうものが少ない地域は、すさんでくるわけですね。つまり心の豊かさは感動の数と質ともいえます。
インドネシアはみなさんご存知のように文化芸術の盛んな国です。バリ島なんか島そのものが文化芸術のようなものです。ですからここの人たちは心が豊かです。犯罪などあれば、それはやはり外から来た人たちが関係しているのではないでしょうか。バリにいる皆が皆、文化を大事にする心を持ち、芸術を理解する心を持ち続ける限り、きっとこの先も天国のように平和で幸せな島でいることでしょう。
そこで皆さん、最近涙が出るほど感動したことありますか? 魂は浄化されてますか?
日常生活の中で感動はなかなか難しいかもしれません。しかし異国なら話は別です。バリ島に行くみなさん、美しい景色や人との触れ合いで、もっと素直に感動したりしてみませんか? そして感動したら人の前でどんどん涙を流しましょう。無理に流したっていい。それまでどんなにわがままに振舞っていようが、どんなに素っ気なく受け答えしていようが、「この人本当は純粋ないい人なんだ」って思ってもらえそうで、かなりお得です。
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