かおりんと太郎。甘えっ子の太郎はかおりんのストーカーで、お風呂でもトイレでもどこでもぴったりくっついてくる。かおりんが車で外出すると、ガレージから動かずにじっと帰りを待っているという。

2. ふさふさキンタマーニに埋もれたい

スミニャックのかおりん宅に潜入

日間行方不明になっていた太郎。八年間皮膚病と闘っていたチョコ。かおりんの愛情で助けられたこの二頭は、まるでキンタマーニ犬の見本のような、ふさふさとした立派な毛並みをしている。

■かおりん家のお犬さま

キンタマーニ犬(バリ犬)
 太郎(10歳/♂)、チョコ(10歳/♂)

 実は、今回登場してもらったかおりんには、プライベートで親しくさせてもらっている。だから、かおりんの家の太郎とチョコとも三〜四年前からのつきあいだ。ところが、チョコの方はいいとして、太郎の方はいまだに私になついてくれない。日本人女性が嫌いなのだ。普通、飼い主が日本人女性だと、他の日本人女性にもなつきやすいものだけれど、太郎の場合は違う。彼がまだ仔犬だった頃、ある日本人女性に厚底のサンダルで思いっきり踏まれた経験があるのだ。その女性は彼に謝りもしなかったという。それがトラウマになっているらしい。だから、私たち友人がどんなにご機嫌をとってみても、彼は心を開いてくれないのだ。まったく、踏んだ女が恨めしいったらありゃしない。

 元々バリ犬は、日本犬と同じように、飼い主にだけ忠誠を誓う「ワンマン ドッグ」だ。キンタマーニ高原出身の長毛種「キンタマーニ犬」と、「アンジン カチャン(豆犬)」と呼ばれる短毛種がいる。現在では、この二犬種が混ざり合って、純血キンタマーニは少なくなった。太郎は、この数少ない純血キンタマーニなのだ。多少気難しくても仕方あるまい。

 そんな太郎が先日、ビーチの散歩の途中で、正面から来た犬二頭に追いかけられて、建築途中で放置されたホテルの敷地に迷い込んでしまった。二頭はすぐに見つかったものの、太郎は出てこない。かおりんと私は、ジャングルのように草木が生い茂った廃墟の中を夜遅くまで捜しまわったけれど見つからず、結局、二日たって廃墟の一番奥に掘られていた肥溜め用穴(未使用)の中に落ちているのを発見されたのだ。未使用で良かった…。にしても、最後まであきらめずに捜し続けたかおりんの愛情には頭が下がる。救出された太郎は、すぐに元気を取り戻し、相変わらず来訪者に吠えまくっている。

 一方、チョコは仔犬の頃から八年間、毛がほとんどはえていなかった。買って来てすぐに毛が抜け始め、あっと言う間にがびがびになってしまったらしい。皮膚からは異臭さえ放っていた。何度も獣医に診せ、注射をしてもらったり、薬を塗ったり、飲ませたりと、手を尽くしたけれど、まったく効果なし。私が初めて逢った頃は、そりゃあもう、ひどいものだった。それが今ではこのふさふさとした毛並み。あの頃が信じられないくらいだ。これは、フードを変えたおかげ。カナダ製のナチュラルフードを日本の会社から送ってもらって試したところ、一ヶ月でこんなにふさふさになったという。おそるべしフード。それから二年、毎月同じフードを日本から空輸してもらっているかおりん。そこまでお金と愛情をかけてもらえるこの二頭はシアワセものだ。



*この記事は「H.I.S.バリフリーク2004年11号」に掲載されたものです。