| バリ島の大自然と遊ぶ、ナチュラル派のアクティビティを主催している会社「ソベック」。その数あるアクティビティの中から、晴子さんが今回チャレンジしてくれたのは「4WDツアー」。自然が大好きな晴子さん、本当に楽しそうに遊んでました。 |
福島の田んぼのど真ん中で生まれ、小学校6年生まで育った私にとっての楽しい遊び場所は、田んぼや畑、疎水や川、竹林。「となりのトトロ」みたいな、正にあんな感じの風景だった。
学校への通学は勿論徒歩。45分かかるルートは、大通りを通る行き方でつまらない。田んぼのあぜ道や竹林を通れば早くて楽しい。しかし、帰りは遊びながら帰ってくるので、早いルートで帰っても1時間以上かかる。帰り道、虫や蛙を捕まえたり、草花を摘んで遊んだり、色んな果実を採って食べたりした。摘んだヨモギやイナゴは、後でおばあちゃんが美味しいおやつに調理してくれる。
家に帰ってからもジッとしているわけがなく、帰宅後は夕飯まで、季節に関係なく殆どの時間を外で過ごした。きれいな水が流れる川では白鷺が飛来し、疎水では鰻が釣れる事もある。夏には蛍をビンに集めて、一夜限りのライトを作り、窓全開で蚊帳の中で寝る。花の髪飾りを編んだり、竹の葉っぱで船や風車を作った。何をして遊んだか書き出したらキリがない程楽しいことだらけ。心も体もたくましくなったが、34年の人生の中で一番純粋に楽しかった時間だった。
中一から東京に越してきてからは、そういう楽しさはすっかり消えた。たまに福島に帰っても、都会に追いつけ追い越せでどんどん街になり、私のお気に入りの田んぼや竹林は少しづつ無くなっていった。娘のジョイも何度も連れて帰ってはいるが、私が見せたかった風景には程遠かった。
今回H.I.S.支店長の小久保さんから、ソベック4WDツアーの取材を頼まれた時、あっ! これだ! と思った。1時間の田んぼや渓谷を通るトレッキングがあると聞て、私の田舎の風景と思いっきりダブったからだ。そうだ! バリはまだまだ現役なんだ!
ジョイには、自然の楽しさは玩具には勝てないと何時も言っている。LAに居ても、キヤンプやハイキングによく連れて行く。此処にいると、通学は常に親が車で送り迎え、帰宅後も一人で勝手に遊びに行くなどとんでもない話。自然と教育玩具と名の付いたオモチャが増えて、家で遊ぶことが多くなる。自分の時間を持つこともなく、体を遊びで酷使していない彼等は、肉体的にも精神的にも大変ひ弱だ。仕方ないから、またしても親がいわゆる課外授業の様に、チャンスをお膳立てしてあげなきゃいけない。都会というのは、本当に弱く薄っぺらい所である。
そういう訳で、ソベックさんのお膳立てに乗っかって、朝っぱらから4駆でお出かけした。いきなりベベック(アヒル)の戯れる田んぼのど真ん中の道で下ろされ、「ハーイ、ここから歩きまーす!」とガイドのお兄さんに言われた時は、これだぜーっ! と思った。その風景は私にとって完璧だった!
稲が風でそよぐ音とベベックの鳴き声…少しぬかるんだあぜ道をガイドさん先頭で歩き始める。出発前には、危険動物を脅かす為の、杖にも使える長い竹の棒が支給された。何だか懐かしくてワクワクする。ジョイも私の期待通り、探検隊気取りで元気に隊長(ガイドさん)の後を付いていく。少し感じが違うのは、バリの田んぼは段々なので進むに連れ、何処かへ下りていく感じのとこ。滑って転びそうで日本の田んぼに比べ少し危険度は大きいが、歩いていくうちに慣れてくる。ジョイなんか飛び降りていた。
草花も熱帯の地ではまた違っていて美しい。真っ白な小さな花を見付けたジョイが「お星様みたいね」と言った。ガイドさんが教えてくれたお辞儀草がジョイはひどく気に入ったらしく、「はずかしい草どこ?」と必死に探していた。
下りた先には吊り橋が渡された小さな渓谷があり、二人づつ渡った。長い年月を此処で生きてきた、大きな見事なガジュマロの木には、ちゃんとお供え物が置いてあった。

用水路の脇に生えていた不思議な草は、茎を折った割れ目から出る液汁をふっと吹くと、シャボン玉になる! これには私も驚いた。何度も新しいのでやってみたが、ジモピーには勝てず、ガイドさんの様には上手に出来なかった。
あっという間に一時間のトレッキングは終わり、ガイドさんが出してくれたバリ風草餅をほおばりながら田んぼの休憩所で飲んだお茶は、最高に美味しかった。出発が早くて、おまけに前の晩全然寝ていないときている編集のゆみさんも、メチャメチャ不機嫌だったのに、毒が抜けたみたいに気持ちよさそーな顔してミカンを食べている。ジョイは待ち切れなさそーに次の目的地について隊長を質問責めしていた。私的には、何十年ぶりかで体験した田んぼとのふれ合いで、亡くしてしまったと思っていた心の故郷に又出会えたみたいで、涙が出るほど純粋に楽しくて嬉しかった。
あれから四ヶ月経つ今でも、ジョイは田んぼの話をしてくれる。バリはジョイにとって、もう一つの心の故郷になるかもしれない、と思った。
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