太陽の巻



 このあいだ、ウブドで変なおばさんを見かけた。自分の肩幅ほど広いつばの、淡い黄色の上品な麦わら帽子をかぶり、黒の麻で出来た長袖シャツにパンツ姿。白い手袋を着け日傘までさしている。サングラスは顔の殆どを覆い被すほど大きくて、口元もハンカチで隠している。広尾や青山、L.A.でいえばロデオドライブ辺りならよく見かけるおばさんだが、バリのウブドゥにも遂に現れたかという感じ…。完全防備で買い物袋を腕に下げお急ぎの先は、ウブドゥで一寸有名なエステサロン。美しさにより一層磨きをかけるため、遙々バリまでやってきたのだろうか? まぁ、バリではそれもありだからいいか? とも思ったが、その格好が、なにもそこまでしなくても…と呆れてしまう。
 確かに、オゾンホールや大気汚染の問題で、太陽は特に女性には危険な存在、天敵である。シミ、ソバカス、シワの元になる!なんて言われりゃ、あのおばさんみたいに覆い隠したくもなる。だけど、そういう表面の問題か? その、中身の問題だと思う。便利さや心地よさを追求した結果、人間は本来持ち合わせた能力をどんどん失いかけている事は、現代の成人なら皆一度は感じる事だと思う。何だか、自然界から遮断され隔離され生きている感じ…。季節の移り変わりも、毎日のお天気も、そう感じない毎日では、どんなにビタミンを口に放り込んでみても、高い化粧品を使ってみても、体調も顔色も冴えない。暑い時は涼しいクーラの中で、寒い時は暖房の効いた所で温々…では、体温調節出来ず冷え性でも仕方ない。機能していないも同然だから、表面的な美しさもなかなか追いつかない。

 こんな風に人間本来のシステムがダウンしてしまっているのなら、それを再起動させる必要がある。手っ取り早い方法をお教えしよう!これは、私のお世話になっている整体師の三枝誠先生に教えていただいた呼吸法で、出来ればお日様の光を燦々と体に浴びながら、日光浴がてら試して欲しい。陽を浴びて正しい呼吸をするだけで、こんなに違うのか?! とびっくりする。体も心も軽くなる。人間が光合成する大事な事なんだそうだ。

 貴方が今、正にクタビーチ辺りでお買い物中なら丁度良い。チョットお付き合い頂きたい。炎天下なら2分でエネルギーチャージ出来て良いし、4時頃から落日にかけてなら、リラクゼーションに良い。クタビーチはバリ島の中でも海に夕陽が落日する様は息を呑む美しさだし、日向ぼっこにも最高の場所だ。
 とにかく、クタビーチに向かって頂き、難しいかも知れないが、なるべく端の方の人の少ない所をどうにか探して、砂が服に付く事も気にせず(クタの砂は以外に取れやすい…)肌をさらして、海に向かいそこに正座して頂きたい。絶好のロケーションで行う三枝式呼吸体操は、効果倍増間違いない!

 手順:正座した膝の間隔は少し開けて、背筋を伸ばす。顎は少し上げ気味で、両手は下腹を支えるようにあて、用意が出来たら目の前に見える水平線を感じて欲しい。地球が丸いことを感じたら、太陽の光と新鮮な空気を頭の脳天から入れる気持ちで、肺ではなくお腹を膨らますようにしながら鼻から息を吸う。吐く息は、脳天から背骨を通って尾てい骨辺りに抜いていくイメージで、顎は上げ気味のまま口を大きく開け、下腹を支えつつ背中は伸ばしたままで、頭を膝の間に入れるぐらいまで、ハァーと息を吐きながらゆっくりと上体を倒していく。息は腹の底から吐き切る。太陽の光は脳天から真っすぐ体の真ん中を抜け地球を抜けぐるっと回って、又自分の頭上に戻ってくるイメージが良い。太陽エネルギーが自分を通して流れているイメージだ。これが、ワンセットとして、3回はやってみよう!

 真っ昼間なら、きっちり光合成出来て、頭も真っ白になり、体も芯からポカポカしてくる。顔色も良くなるから凄い。これからの買い物にも決断力が出ること間違いなし!(ホントか?)
 夕方ならじっくりクタビーチで水平線に真っ直ぐに沈む夕日を鑑賞しながら、この呼吸法を試していただきたい。この場合目の前に夕日を浴びるので、チャクラ辺りから光を感じるかも知れないが、それも良い。ありとあらゆる毒素が抜け、優しい気持ちになる。クタビーチにあふれかえる鬱陶しくさえ感じていた周りの観光客達や物売りさえ、愛おしく感じる。

 本来地球上で生きる物全てにエネルギーを与えてくれるのは、太陽の以外の何者でもない。太陽は神、宇宙そのものであり、命の源でもある。赤道直下にあるバリ島でその恩恵を授からず帰るなど、私には考えられない。シミもソバカス私にとっては皮膚活動の一環に過ぎないしどうでもいい。むせ返るほどの緑が作り出す新鮮な空気も思いっきり体に取り込めたなら、その方がどんなマッサージよりも血行が良くなるに決まっている。美しいとは、そう言う事だと信じている。

 そして、心を癒してくれる真っ赤な夕日は今日も完璧なポジションで海の向こうへと落ちていく。まるで、血の色の様に真っ赤に染まる空と海。此処に人が集まってしまうのは仕方がない訳だ。
 今日は、お肌ツルツルのジョイと二人、夕日をクタで眺めている。ついでにメディテーションもした。何だか心がぽかぽかして、ドーパミンもいっぱい出て、2人で気持ちのいい時間を過ごせた…。また、絶対此処に来ようね!バリに来ようね!とジョイと約束をした。