〈17〉ムルニ さん
わずか7才の時に父親から性的虐待を受け、また成人してからは、子宝に恵まれなかったことが原因で離婚に至ったりと、恐怖と混乱の中で生きてきたムルニさん。そんな彼女がとびきりの笑顔と明るさで前向きでいられるのは、絵が描けるから。長い間、自分の中に秘めていた気持ちを吐き出すかのように絵を描き続け、出来上がった絵は3,000点を裕に超すという。それは、彼女の心の痛みがいかに大きいものかを物語るエピソードである。

■プロフィール
1966年7月4日生まれ。出身地:バリ島ジュンブラナ県。
農家の10人兄弟の10番めに生まれる。7才で家を出て働きながら学校を卒業。16才で結婚し、ウブドに移り住むが、21才で離婚。その後28才で師匠であるバリ人画家モコ氏に出会い、絵を学び始める。また、イタリア人画家モンド氏にも師事。'95には師匠と共にドイツで初のグループ展を行ない、'96にはウブドで個展を開く。この後精力的にエキジビションを行ない、現在に至る。ウブド在住。

■問い合わせ/連絡先
Murni's Art Studio
P.O. Box 82, Ubud 80571
Tel : 976453 / 081-2365-4061
E-mail : murniartstudio@hotmail.com

タイトル「Bercinta di Sepatu(靴の中のメイクラブ) 」。

タイトル「Terima Kasih Bapak(ありがとうパパ)」はムルニさんの最近のお気に入り作。そう言えるようになったのは、絵を描いているからこそ。

タイトル「Jawa & Italy(ジャワ&イタリア) 」。

タイトル「Saya Kunci(鍵) 」。

墨で輪郭を縁取っていく作業中のムルニさん。

ムルニさんのギャラリー兼アトリエ。広い庭の中にあるアトリエはとても素朴でくつろげる雰囲気だ。

つよし:彼女の絵はセクシャルな題材がほとんどですが、卑らしさを感じないですよね。すごくストレートに表現している感じです。

みわきち:宗教の厳しいインドネシアでは、本当はタブーな題材ですよね。昔、ウブドでのグループ展の時、ある女流画家から「その下品な絵を壁から降ろしなさい」と言われ、すごく悩んだこともあるそうです。でも、それは話題性を狙ったわけでなく、心から純粋に生まれてきたものを絵にしただけ。

つよし:ムルニさんはひらめくと大体25以上のインスピレーションが浮かぶそうです。浮かんだ時に一気に描かないと眠れず、全て描き出して、ようやく眠りにつけるそうです。絵を描くということは、彼女の生きるエネルギーを生む糧でもあるんですね。