1. カガミよ鏡
さて、始まりましたよ、新連載。ブログ形式でお届けする「てぃだあぱな日々」。ワタクシ、田尾たんぼがバリ島生活で感じたこと、ぼやきなどをだらだら書かせていただこうと思っています。え? それぢゃあ、前の連載と変わらないだろうって? ティダ アパぁ〜、細かいことは気にしないのがバリ流ってぇもんです。ここでの長さの最小単位は「cm」であって、決して「mm」ではないのですから(笑)。
さてさて、日々身体を巨大化させ続けている私なのだが、またしても己自身にガクゼンとする出来事があった。
いい歳こいたおばさんになると、白髪というヤツに髪の毛を浸食されまくるものだけど、私の場合ももちろん例外ではない。白髪染めなどという、若い頃には考えもしなかった儀式を時々執り行わねばならなくなった。
私はかなり不規則な生活をしているので、「予約」というものが苦手だ。先のことを今決めて、それに従わなくてはいけないというのがツライのだ。だから、白髪染めもほとんど自分でやっている。真夜中、ブログの更新や仕事の合間にヘナを塗りたくって、そのままコンピュータに向かっているのだ。
ある日、いつものようにバスルームの大きな鏡の前でヘナを塗りたくっていると、鏡に写った自分の姿に、ふいにデジャヴ状態に陥った。これってなんだかどこかで見たことあるような光景。どこで見たんだろう? これって誰かに似ているような。誰に似ているんだろう?
鏡の中の私は、服が汚れるとイケナイので上半身ハダカ。ヘナで黒光りしたセミロングの髪の毛を頭上でひとまとめにしていた時だった。
誰? 誰? 私は誰? 真夜中のバスルーム、私の悲痛な問いかけに鏡は無情な答えをくれた。
あ、朝青龍だ。
・・・・・・・・・・。
一番とり終えた朝青龍が支度部屋に戻って髪結いさんに大イチョウを結ってもらっている、その光景が鏡の中の自分にオーバーラップした。嗚呼・・・。ついにここまで来ちまったのか。真夜中、私はひとりでうれし泣き・・・ぢゃなくって、悲しみにうちひしがれたのだった。っていうか、自分自身に呆れ果てたね。いったいぜんたいどこまで太れば気が済むんだろう(涙)。
いくらなんでもこりゃマズいと思っていた矢先に、エース(バリで唯一のホームセンター)で体脂肪率計測機能付きのデジタル体重計が売られているという話を聞いて、飛びついた。これでグラム単位で体重管理してやろうという魂胆だ。結構いいお値段に一瞬ひるんだものの、えいっとばかりに買って来た。ところが、家に帰って説明書を見ると、フランス語やドイツ語らしきものしかなく、日本語はおろか、インドネシア語も英語も見当たらない。それでもなんとか試行錯誤して、体重だけは計れるようになったものの、体脂肪率の測定方法がわからない。高いお金を出してイイ物買っても、これぢゃあ意味ないぢゃん。これぞまさしく宝の持ち腐れってもんだろう。私の現在の体脂肪率は未だに謎のまま、体重計はうちのわんこの枕と化している。ま、世の中こんなもんだろう。ティダ アパぁ〜。
*「H.I.S.バリフリーク」2006年12号掲載 |
Profile

田尾たんぼ:神奈川県生まれ、東京育ち。1992年9月インドネシア共和国国立ガジャマダ大学(ジョグジャカルタ)に語学留学。1993年12月ジョグジャからバリ島に移住。旅行会社、免税店、アクティビティ会社勤務を経て、1998年独立起業。日本語印刷物、ホームページ等の制作会社TAO代表。本誌編集責任者。著書に「バリ島極楽チャンプル」「バリごはん バリ島極楽チャンプル2」(共にソニー・マガジンズ)。海外書き人クラブ会員。
WEBサイト「極楽たんぼ」
http://www.taotam.com
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*Tidak Apa Apa = ティダ アパ アパ/なんでもない、大丈夫などの意味で煩瑣に使われるインドネシア語。口語では略して「ティダ アパぁ〜」と言うことも多い。 |