3. 孤島からの脱出

去年の暮れ、台湾で地震があった。台湾とバリ島はかなり離れているにもかかわらず(日本の方がよっぽど台湾に近い)、この地震の影響でインターネットの接続が出来なくなってしまった。海外からのメールも届かないし、送れない。それどころか、国際電話やファックスもほとんどつながらなくなった。なんでも、東南アジアの電話回線は台湾沖の海底ケーブルを通ってつながっているそうで、そのケーブルが地震で損傷してしまったために、こういう事態に陥ってしまったらしい。ネットや電話がつながらなくなったことにもびっくりしたけれど、そんなに長い距離を海底ケーブルが通っていて、ADSLはもちろん、ブロードバンドまでこの海底ケーブルのお世話になっていることの方にもっとびっくりした。あたしゃてっきり人工衛星を使っているんだと思ってたよ。けっこうアナログなんだな。
国際電話はそんなには使わないけれど、ネットは毎日使うものだから、完全復旧まで1ヶ月くらいかかるだろうと言われ、この時はほとほと困り果てた。なんだか世界から孤立してしまったような気までしてきた。考えてみれば、10年前はネットなんて使っていなかったんだから、なくても生活できるはずなのに、ちょっと使えなくなると困るなんてヘンな話だ。まぁ、この時は暮れのお休みに入っていたにもかかわらず、海底ケーブル会社(そんなのがあるのか?)の人たちが頑張って復旧作業をしてくれたおかげで、1週間もしないうちにネットは完全復旧してくれたから助かったけど(電話はもう少しかかった)。
ところで、私は1月の末に引っ越しをした。新居にはすでに電話回線が引かれていたはずだったのに、いざ引っ越してみると電話が通じない。電話が通じないのでADSLも設置してもらえない。新居の改築にお金を使ってしまったのでお高いブロードバンドも入れられない。……またしても陸の孤島(島の孤島?)状態に陥ってしまった私(嗚呼)。なんとか電話回線を復旧させてもらわないと、本当に世界からひとりだけとり残されてしまいそうだ。って、大げさだろうか? でも、仕事のメールに始まって、自分のブログ更新や楽しみにしているブログの巡回、果てはネットショッピングまで、かなりの度合いでネットに頼っている私にしてみれば、ちょっとネットが通じないだけで「100年の孤独」状態になってしまうのだ。なんと不自由なことだろう。まんまとネット産業のワナにハマってしまっている自分を発見(涙)。や、やられちまったゼ。
仕方がないので、会社のADSLで日々の作業をこなしていたんだけれど、……あれ? ADSLの調子が悪いゾ。え? つながらなくなっちゃった? ……今度はジャカルタの洪水でADSLがダウンだって。そ、そんなぁ〜、あんまりぢゃないか〜(号泣)。知らず知らずの間にこれだけ依存させといて、ぱんと突き放すなんて、ネットというタチの悪い男にひっかかってしまったような気分。すがってはイケナイと思いつつも、ついついすがりついてしまう自分が情けない(嗚呼)。でもっ、でもっ、なんとかこの孤島から脱出しなくてはっ! ……今は会社の電話回線でかろうじて命綱を保っている。早く家の電話回線とADSLが復旧してくれないとストレスが増すばかりだ。
*「H.I.S.バリフリーク」2007年3号掲載 |
Profile

田尾たんぼ:神奈川県生まれ、東京育ち。1992年9月インドネシア共和国国立ガジャマダ大学(ジョグジャカルタ)に語学留学。1993年12月ジョグジャからバリ島に移住。旅行会社、免税店、アクティビティ会社勤務を経て、1998年独立起業。日本語印刷物、ホームページ等の制作会社TAO代表。本誌編集責任者。著書に「バリ島極楽チャンプル」「バリごはん バリ島極楽チャンプル2」(共にソニー・マガジンズ)。海外書き人クラブ会員。
WEBサイト「極楽たんぼ」
http://www.taotam.com
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*Tidak Apa Apa = ティダ アパ アパ/なんでもない、大丈夫などの意味で煩瑣に使われるインドネシア語。口語では略して「ティダ アパぁ〜」と言うことも多い。 |