9. まとめ買いのココロ

 スーパーでお気に入りのツナ缶を発見すると、10〜20個くらいまとめ買いをする。棚にあるものぜんぶを買ってくる時もある。別に毎日ツナ缶を食べるわけぢゃないけど、私のお気に入りのそのメーカーのは限られたスーパーにしかおいてないし、一度品切れになるとなかなか入ってこないので、ついついどばっと買ってしまうのだ。

 バリ島に住んでいる日本人の中には、まとめ買いのクセがついてしまったという人も多いと思う。かくいう私もそのひとりだ。日本だったらちょっと買い物にでればなんでもあるし、今だったら外にでなくてもネットでなんでも買えるだろう。けれどここには、ツナ缶に限らず「一度品切れになったらしばらく入ってこない」という法則がある。

 バリで売られている商品の多くは、お隣のジャワ島にあるスラバヤという商業都市から送られてくるので、品切れになってから発注すると届くまでに時間がかかるのだ。「品薄になった段階で発注をかければ、在庫切れなんてするわけないぢゃん」と思った、そこのあなた。それはとっても日本的な考え方だ。おおらかな南の島の住人は、そんな先のことを思い悩む(?)ようなことはしない。「今、目の前にあるか、ないか」という、きわめて単純な思考回路でものごとを考えるようになっている。だから品切れなんて日常茶飯事。あったり前田のクラッカー(ふるっ)。そうして、「今すぐほしい」せっかちな日本人消費者は、「あった時にまとめ買い」のクセがついてしまうのだ。

 つい先日も、某外資系スーパーでおいしい全粒粉スパゲティとオーガニックごまスナック、シリアルを見つけて喜んでいた私だったが、次に行った時にはすでに品切れ。まとめ買いをするヒマもなかった。いくら私でも、最初に味見もせずにまとめ買いはしないからね。やっぱり一回試してみておいしかったら、ちょっとまとめて買っちゃおうかなってなもんだ。だから、二回目に買いに行った時にないととっても悲しい。特に輸入食品は入荷時期が読めない。次に入荷するのかさえもわからない。こうなると、もう後悔の嵐だ。なんでもっと買っておかなかったんだろう。せめて買った日に食べてみて、翌日に来ればまだ残っていただろうに……と、悔し涙の日が暮れる。

 でも実は、お高い輸入食品はまとめ買いにも限度がある。いっぺんに買えるのはせいぜい3〜5個くらいだろう。だから余計、品切れさせないでほしいんだよなぁ(しみじみ&切実)。

 それでも最近はまだよくなった方だと思う。品切れでいらいらすることも、前よりはずっと少なくなった。けど、一度ついてしまったクセはなかなか抜けないもんだ。気に入ったものはついついどかんと買ってしまう。だから、在住年数の多い人ほど「まとめ買いグセ」のついている人が多いように思う。昔はほんとにモノが少なかったからねぇ。バリに住んでまだそんなにたっていない人には、まとめ買い人口が少ないような気がする。これって、「戦争を知っている人はごはんを残せないけど、今のコたちは平気で残す」っていうのと似ているかも。え? ちょっと違うって? ぢゃあ、「ダイエット時の飢餓状態を脳が憶えていて、目標体重になった途端についついどか食いしてしまう」っていうのでどうだ(笑)。

 かくしてまとめ買い女の私は、今日も獲物を狙ってスーパーというジャングルを徘徊するのであった(あほか)。




*「H.I.S.バリフリーク」2007年9号掲載
Profile

田尾たんぼ:神奈川県生まれ、東京育ち。1992年9月インドネシア共和国国立ガジャマダ大学(ジョグジャカルタ)に語学留学。1993年12月ジョグジャからバリ島に移住。旅行会社、免税店、アクティビティ会社勤務を経て、1998年独立起業。日本語印刷物、ホームページ等の制作会社TAO代表。本誌編集責任者。著書に「バリ島極楽チャンプル」「バリごはん バリ島極楽チャンプル2」(共にソニー・マガジンズ)。海外書き人クラブ会員。
WEBサイト「極楽たんぼ」
http://www.taotam.com

Member

★会員募集中★
会員条件
1. 体重60kg以上
2. 体脂肪率30%以上
3. 食べることが好きなこと

Books
今月のオススメ本

「まっぷる バリ島 」
  昭文社刊
  ¥1,000 (税込)

Words
今月のお言葉
いちどにどっさり買ってもいいが
いっきにどっさり食ってはならぬ


*Tidak Apa Apa = ティダ アパ アパ/なんでもない、大丈夫などの意味で煩瑣に使われるインドネシア語。口語では略して「ティダ アパぁ〜」と言うことも多い。



BACK | NEXT

TIDAK APA MENU | HOME