18. オンナはつらいよ

 食べることが大好きな私。美味しいものを食べることは人生のヨロコビ、生きる支え、シアワセの証、キレイな服を着るより美味しいものを食べていたい……と思ってきたけれど、欲望のままに食べていたらヤバいくらいに太ってしまった。ほっぺたの肉が盛り上がってしまい、コンタクトをはずすと下マツゲが眼球に刺さるような感じで痛い。足の爪を切ろうとしても、お腹がジャマでなかなかうまくいかない……などなど、生活に支障をきたすようになってしまったのだ。いかん、いかん、これではいかん。このままでは体重3ケタいってしまうかもしれん。早死にするかもしれん。確かに、美味しいものを食べることは人生のヨロコビではあるけれど、肝心のその人生がなくなってしまってはそれももうできなくなってしまう。なんて思っている時にちょうど美容院に行ったら、鏡に写った自分の醜い姿に唖然茫然。ここまでいってしまっていたか。これはマジでヤバすぎる。そう思って一念発起。ダイエットを始めた。


 今までも何度もダイエットとリバウンドを繰り返して来た経験から、一食豪華主義でお昼にだけ好きなものを食べ、夜は炭水化物を抜いた軽い食事のみと決めた。我慢しすぎるダイエットはリバウンドの素だからね。毎日毎日大きな鏡を見ながら、オノレの醜さにたら〜りたらりと汗を流し、外食もできるだけ控えてがんばった。

 その結果、2ヶ月ちょっとで10kg減突破! 久しぶりに会う人たちからは「痩せたね〜」と言ってもらえるようになった。けれどその頃から停滞期に入り、それから1ヶ月半以上経つというのに2kgしか痩せていない。合計で12kg減だ。こんなんぢゃ最終目標の30kg減まではまだまだ長い道のり。美しくなるって大変なことなのね(嗚呼)。

 10kg減を越えたころ、大喜びで調子こいた私は、ブティックを覗いてみることにした。たとえお気に入りの服を見つけても入らずに今まで我慢してきたんだもの。これだけがんばって痩せたんだから、少しは入るようになっていてくれなくは困る。一軒のお店に入り、ふんふん♪と鼻歌でも混じりそうな勢いで服を物色していたら、近づいて来たスタッフがにこやかにひと言。

 「お客さま、XLもありますよ」

 ……………が〜〜〜ん(顔面蒼白)。西洋人客も多いバリ島では、日本に比べて服のサイズが大きい店が多い。日本で買ったXLのTシャツとこっちのブティックで買ったMサイズのTシャツがほぼ同じ大きさだったりするのだ。だから、こっちでXLってことは、日本ではどんだけってこと? 私はまだそんなに大きかったのか。実際には以前の服はもちろんぶかぶかになっていたのだけれど、問題は見た目。そんなに大きく見られたってことがショックだったのだ。せっかくここまでがんばったのに……。


 けれど、そんなことぐらいでくじけてはいられない。あと18kgも痩せなくてはいけないのだからして、停滞期も更年期も乗り越えて突き進まなくてはならないのだ。最近は苦手な運動も少しずつ始めたり、リンパマッサージで血流を良くしたり、家では靴下を履いて足を温めたりしている。目標を達成した暁には、バリ中のブティックのめぼしい服を買い占めてやるから、待っているがいいわ。

 身の回りのことにかまわなくなったらオンナも終わり。どんなに元が良くてもおばさん臭くなってしまうのだから、元が標準以下ならなおさらのことだ。「太っていても、てぃだ あぱ〜」ではないのだ。あきらめずにがんばるゾ。



*「H.I.S.バリフリーク」2008年7号掲載
Profile

田尾たんぼ:神奈川県生まれ、東京育ち。1992年9月インドネシア共和国国立ガジャマダ大学(ジョグジャカルタ)に語学留学。1993年12月ジョグジャからバリ島に移住。旅行会社、免税店、アクティビティ会社勤務を経て、1998年独立起業。日本語印刷物、ホームページ等の制作会社TAO代表。本誌編集責任者。著書に「バリ島極楽チャンプル」「バリごはん バリ島極楽チャンプル2」(共にソニー・マガジンズ)。海外書き人クラブ会員。
WEBサイト「極楽たんぼ」
http://www.taotam.com

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今月のオススメ本

「一分間だけ 」
  原田 マハ 著
  宝島社 刊
  ¥ 1,470 (税込)

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今月のお言葉
もうダメだと思った瞬間に
すべてが終わる
あきらめなければ終わらない


*Tidak Apa Apa = ティダ アパ アパ/なんでもない、大丈夫などの意味で煩瑣に使われるインドネシア語。口語では略して「ティダ アパぁ〜」と言うことも多い。



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